六花亭の社長・小田豊の立志伝

北海道十勝の菓子メーカー「六花亭」の2代目社長・小田豊(おだ・ゆたか)の生涯を描く立志伝です。

小田豊の立志伝

小田豊は昭和22年(1947年)に北海道帯広市で、菓子屋「帯広千秋庵」を営む小田豊四郎の長男として生まれた。母は小田淳子(三浦淳子)である。

小田豊が生まれた時は、まだ菓子メーカー「六花亭製菓」は誕生しておらず、前身となる菓子屋「帯広千秋庵」だった。

「帯広千秋庵」には菓子職人が住み込みで働いており、大家族だったが、それほど繁盛はしておらず、小田豊が仕事を手伝うようなことはなく、忙しいのはクリスマスの時だけだった。

小田豊は、友達に医者や弁護士の子供が居て、誕生会に呼ばれて遊びに行き、「良い生活だな」と思っているうちに、医者か弁護士になりたいと思うようになった。

ある日、父・小田豊四郎が「お前は何になりたいんだ」と訊くと、小田豊は「医者か弁護士」と答えた。

すると、両親が「それもありだろう。でもな、医者や弁護士になったら良い生活が送れると思うなよ。仕事なんだから、良いことも、悪いこともあるんだ」と言った。

結局、小田豊は両親に懐柔され、高校の時に「何をやっても良いことも悪いこともある。よし、菓子屋になろう」と決めた。

こうして、菓子屋になることを決めた小田豊は、帯広三条高校を卒業すると、慶應義塾大学へと進学。昭和44年(1969年)に慶應義塾大学を卒業すると、父親が決めた京都の老舗菓子屋「鶴屋吉信」で修行した。

このとき、父・小田豊四郎から「3年半で何もかも身につけるのは無理なので、修行を終えてから、困ったときに相談に乗ってもらえるように心がけよ」と言われた。

さらに、父・小田豊四郎が「菓子屋なんだから、お茶くらい飲めないといけない」というので、光悦寺の住職・山下惠光に師事して茶を学んだ。初めは気が進まなかったが、住職・山下惠光との出会いが大きな財産となった。

六花亭(帯広千秋庵)時代

昭和47年(1972年)、京都の「鶴屋吉信」で3年半の修行を終え、実家に戻り、父・小田豊四郎が経営する「帯広千秋庵」に副社長として入社する。

このころ、父・小田豊四郎が発売した日本初のホワイトチョコレートが大ヒットし、全国で類似品が発売されるようになっていた。

父・小田豊四郎は、類似品問題に対応するため、千歳空港に進出しようとするが、千歳空港は本店「札幌千秋庵」の商圏だったため、本店「札幌千秋庵」との商圏問題に発展する。

父・小田豊四郎は本店「札幌千秋庵」と対立に苦悩するが、母親や岩城二郎に「暖簾で商売をしているわけではないだろ」と背中を押され、暖簾を返上して昭和52年(1977年)5月に「六花亭製菓」へと社名を変更した。

社名変更により、北海道随一とされる本店「札幌千秋庵」と敵対することになるが、「六花亭製菓」は千歳空港へと進出。千歳空港進出に成功して、北海道全域へと店舗を拡大するのだった。

小田豊は副社長だったが、かなり早い時期から、実務を任されていたようで、店舗の拡大は小田豊の主導で行われた。

小田豊は、建築設計にも興味があり、六花亭が倒産しても、店舗は残るようにと考え、店舗の基本設計を自ら手がけている。

このころ、ホワイトチョコレートのヒットにより、生産が追いつかず、従業員は過酷な労働を強いられていた。人が倒れるのが先か、機械が壊れるのが先かという状況で、小田豊が出社すると、毎日、机の上に辞表が置かれていた。

小田豊はこうした問題にも積極的に取り組み、昭和53年(1978年)に帯広工業団地に工場を設立して生産体制の強化を図り、第2工場、第3工場と積極的に設備投資をし、労働環境の改善に励んだ。

また、小田豊は、ドイツマルク建普通社債を発行したり、日本初の銀行保証付ユーロ円建普通社債を発行するなど、地方のお菓子屋とは思えない先進的な手法で資金を調達するなどして、注目を集めた。

小田豊は、生産体制を強化して労働環境の改善に励み、20年連続で有給休暇100%取得を達成。月間優秀社員を表彰する制度を設けたほか、社員旅行に補助金をだすなどして、社員の福利厚生に力を入れ、ブラック企業と呼ばれた「六花亭製菓」をホワイト企業にした。

また、平成7年(1995年)に父・小田豊四郎が会長に退き、小田豊が社長に就任すると、「楽天市場」へ出店してインターネット販売を開始したほか、中札内美術村を建設するなど文化活動にも力を入れた。

社長になっても、社員13OO人の顔を覚え、社員から寄せられる「1日1情報」を毎日、3時間かけて目を通し、問題点があれば即改善を指示。必要な情報は社内新聞を通じて共有し、社員との関係を大切にした。

そして、小田豊は平成28年(2016年)に、月間優秀社員の初受賞者・和田滋に社長を譲って会長に退き、六花亭食文化研究所の所長に就任したのだった。

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