日清食品の安藤百福と信用組合「大阪華銀」の倒産

日清食品の創業者の生涯を描く「安藤百福の立志伝」の「信用組合『大阪華銀』の倒産」編です。

このページは「日清食品の創業者・安藤百福を脱税で逮捕」からの続きです。

はじめから読みたい方は「日清食品の創業者・安藤百福の立志伝」をご覧ください。

安藤百福と大阪華銀の倒産

安藤百福(呉百福)は、軍事裁判にかけられ、脱税事件で実刑判決を受けて東京の巣鴨プリズン(巣鴨拘置所)に収容されたが、泉大津税務署を相手取って裁判を起こすと、泉大津税務署から裁判を取り下げてくれたら、即釈放すると持ちかけられた。

安藤百福(呉百福)は取引に応じず、裁判を続けていたが、子供連れて面会に来た妻・安藤仁子が変えるときの背中を見て、訴訟を取り下げて釈放された。

安藤百福(呉百福)は、巣鴨プリズン(巣鴨拘置所)に収容されている間に泉大津税務署から、土地や事業を差し押さえられており、事業を整理されていた。

このため、安藤百福(呉百福)は、事業家としては振り出しに戻っていたが、巣鴨プリズン(巣鴨拘置所)から釈放されると再び数々の事業を展開した。

そのようななか、安藤百福(呉百福)は、ある人から、華僑(中国人)向けの信用組合「大阪華銀(大阪華僑合作社)」の理事長になって欲しいと頼まれる。

安藤百福(呉百福)は、金融関係の仕事をしたことがないので断ったのだが、いくら断っても、手を変え品を変えで何度も頼まれたので、ついつい、甘い言葉に乗って理事長を引き受けてしまったという。

安藤百福(呉百福)は、大阪華僑の筆頭格で、華僑に絶大な信頼があったため、安藤百福(呉百福)の名前で信用組合「大阪華銀」には相当な額の預金が集まった。

また、信用組合「大阪華銀」に金を預けたのは中国人ばかりでは無く、日中友好の意味を込めて、日本人も預金した。

しかし、信用組合「大阪華銀」には金融の専門家が居らず、貸し出す方がルーズで、音楽喫茶に1億円の融資を無担保で行ったが、音楽喫茶が経営難に陥って融資を回収できないという有様だったという。

また、信用組合「大阪華銀」は、第3者を通じて赤線の土地に投資したのだが、昭和31年に売春禁止法が出来て、赤線が廃止されたため、赤線の土地が大きく値下がりして損失が発生していた。

さらに、安藤百福(呉百福)が、小豆相場に投資して失敗し、大きな損失を出していた。

このため、信用組合「大阪華銀」は預金額5億4000万円に対して、貸出金は5億9000万円、借入金は2億円というオーバーローン(貸し出し超過)という状態に陥った。

さて、信用組合「大阪華銀」の手形は、安藤百福(呉百福)が「母店」と呼ぶ三和銀行が割り引いていたが、三和銀行は信用組合「大阪華銀」の手形決済が遅れ気味になってきたので、信用組合「大阪華銀」に対する融資限度額を2億円と決めた。

しかし、その後も信用組合「大阪華銀」の融資残高が増える一方だったので、三和銀行は日銀・金融局・大阪府金融課と協議して、信用組合「大阪華銀」の手形の割引を停止した。

すると、噂が直ぐに広まって取り付け騒ぎが起き、信用組合「大阪華銀」は昭和31年(1956年)に倒産したのである。

信用組合「大阪華銀」の顧問を務めていた華僑・井上災亭(許災亭)によると、「大阪華銀」が倒産した理由は、安藤百福(呉百福)が役員会にもかけずに大阪華銀の資金を大豆相場に注ぎ込んで大損を出したためだという。

安藤百福は、投資話を持ち込んだ人物に義理立てして、詳しく語らないが、既に多くの不良債権が発生して大阪華銀の経営は傾いてるところに、上手くいけば経営不振を挽回できるような怪しげな話が持ち込まれ、その甘い話に乗ってしまったと語っている。

このため、信用組合「大阪華銀」が倒産すると、安藤百福は、横領・背任で逮捕・起訴され、執行猶予付きの有罪判決を受け、全財産を差し押さえられ、日本一の大金持ちと呼ばれた資産家から一転して無一文に転げ落ちてしまったのだ。

側近の砥上峰次が奔走して、なんとか大阪府池田市呉服町の借家を確保してくれたが、家財道具を差し押さえられた。

国税局の役員が差し押さえに来たとき、安藤百福はいつも不在で、義母の安藤須磨と妻の安藤仁子が対応した。

義母の安藤須磨は書類や現金を腹巻きの中に隠し、妻の安藤仁子は書類を寝ていた親戚の子供の布団の中に隠したり、子供のランドセルの中に隠して、差し押さえを逃れた。

こうして、安藤百福(呉百福)は、全財産を失ってしまうが、起業意欲は失っておらず、即席麺(インスタントラーメン)を作るために再起するのだった。

なお、安藤百福(呉百福)は、三和銀行から血も涙も無い対応を受けた経験から、二度と銀行には頼るまいと決めており、これが日清食品の無借金経営へと繋がっていくことになる。

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