わろてんか-吉本興業が通天閣を購入した理由と実話のネタバレ

NHK朝ドラ「わろてんか」のモデルとなる吉本興業の創業者・吉本せい(林せい)が大阪の名物「通天閣」を購入した理由と実話のネタバレです。

通天閣は夫・吉本泰三の夢

吉本せいの夫・吉本泰三(吉本吉兵衛)が、天満宮(天満天神)の裏にある三流の寄席「第二文芸館」の権利を買い、寄席の経営に乗り出したのが明治45年(1912年)4月1日のことである。

それから3ヶ月後の明治45年7月3日に初代・通天閣が、遊園地「ルナパーク」とともにオープンした。このため、吉本興業と通天閣は同い年と言われることがある。

初代・通天閣の画像

この写真を見ても分かるように、初代・通天閣は凱旋門とエッフェル塔を組み合わせたデザインになっている。

さて、夫・吉本泰三は、反対派の興行主・岡田政太郎と手を組んで寄席を成功させ、大正2年(1913年)1月に、大阪府大阪市南区笠屋町で「吉本興行部」を設立し、大正3年には「芦辺館」「龍虎館」「松井館」「都座」を買収して寄席のチェーン展開を始めた。

そして、夫・吉本泰三は大正4年ごろ、妻・吉本せいを連れて通天閣に上り、通天閣の展望台から大阪を見下ろし、「いつか、大阪中を寄席を吉本の物にして、通天閣から眺めたい」と言い、妻・吉本せいに通天閣を購入する夢を語った。

しかし、吉本泰三は、大阪の演芸会を制覇し、待望の跡取り息子・吉本泰典(吉本穎右)が生まて、我が世の春が来たと喜んでいた矢先の大正13年(1924年)2月13日に死去してしまう。死因は脳溢血とも心臓麻痺とも言われる。享年39だった。

吉本せいが通天閣を購入

夫の死から14年後の昭和13年(1938年)9月27日、女興行師・吉本せいは大阪のシンボル通天閣を31万円(25万円説もあり)で購入した(注釈:昭和15年の大卒初任給が80円程度である)。

ただ、通天閣は大阪のシンボルと言っても、自殺の名所となっており、展望台からの飛び降り自殺が相次いだので、展望台に金網を張り巡らされていた。

しかも、昭和6年に大阪城の天守閣が再建されたので、大阪の名所は大阪城に奪われ、通天閣は閑古鳥が鳴く有様だったという。

さて、通天閣の購入については、吉本せいの一存であり、弟・林正之助も吉本せいから、通天閣を購入すると言われたので、「姉さんの会社やから好きにしたらよろしい」と答えただけで、吉本興業が購入する経緯は一切わからない。

一説によると、通天閣が売りに出ることを知った吉本せいは、これは大阪の恥と考え、吉本興業で通天閣を買い取ったという。

また、別説によると、吉本せいは昭和10年11月に、大阪府会議長・辻阪信次郎に絡む広域脱税事件「辻坂事件」に連座して逮捕・投獄され、汚名を着せられており、その汚名を晴らすために通天閣を購入したと言われる。

しかし、私は亡き夫・吉本泰三の夢を叶えるために、通天閣を購入したのではないかと考える。その理由は後で説明する。

なお、「辻坂事件」については、「辻阪信次郎の立志伝」で紹介しているので立志伝をご覧ください。

通天閣の消滅

吉本興業が通天閣を購入したことは、「さすが吉本や」と大きく評価された。「辻坂事件」による汚名も吹き飛んだ。

通天閣のお膝元である新世界には、吉本興業の「芦辺劇場」「新世界花月」「南陽演舞場」があり、吉本の地を踏まなければ、通天閣には登れないというほどで、吉本興業が通天閣を購入したことにより、新世界は吉本帝国さながらだった。

しかし、吉本興業の運営になっても大きな改革は無かった。通天閣を購入した吉本せいは、経営難を改善するため、通天閣に「ライオン歯磨」の公告ネオンを付けたと言われるが、史実では「ライオン歯磨」の公告ネオンは経営難のため、大正9年に取り付けられていた。

吉本興業はほとんど手を加えておらず、ペンキを塗り替えて、エレベーターを改造して展望台まで直通で行けるようにした程度である。

その後、戦争の影響で通天閣も解体されると噂されるなか、昭和18年1月16日の夜に通天閣の西側にある大橋座の2階から出火し、通天閣にまで燃え広がった。通天閣はこの火事によって炎上し、足の部分が曲がってしまった。

地元の人々は吉本興業に通天閣を残して欲しいと懇願したが、警察部長・坂信弥から「戦争の役に立たない。空襲の目印になるから、どうぞ通天閣を壊してくれ」と要請されたので、吉本せい(林せい)は通天閣は補修せず、通天閣を鉄として大阪府に献納することを決めた。

そして、吉本せい(林せい)が通天閣の解体式を行ったのが、昭和18年2月13日だった。この2月13日というのは、夫・吉本泰三の命日である。

通天閣は、夫・吉本泰三が寄席の経営を始めた明治45年に開業し、夫・吉本泰三の命日に解体されたのである。

夫・吉本泰三は大正4年ごろ、妻・吉本せいに通天閣を買う野望を語っており、吉本せいが通天閣を買った理由は、亡き夫・吉本泰三の夢を叶えるためだったのかもしれない。

なお、朝ドラ「わろてんか」のモデルについては「わろてんか-登場人物の実在モデル」をご覧ください。

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