朝ドラ「べっぴんさん」のモデルとなる坂野惇子(佐々木惇子)の生涯を描いた「べっぴんさん-坂野惇子の立志伝」の第15話「坂野惇子の立志伝-ベビーショップ・モトヤ(ファミリア)の創業」です。
このページは「べっぴんさん-坂野惇子の立志伝」の第15話です。これより前の話は、目次「べっぴんさん-坂野惇子の立志伝」からご覧ください
坂野惇子・田村枝津子(田村江つ子)・田村光子の3人は、話し合って手芸店の出店を決めると、それぞれ夫に手芸店の出店を相談した。
すると、坂野惇子の夫・坂野通夫も、田村枝津子(田村江つ子)の夫・田村寛次郎も、田村光子の夫・田村陽(飯田陽)も、妻が仕事を持つことに賛成し、夫同士で集まって、手芸店を出すための具体的な相談を始めた。
さて、坂野惇子は既に、神戸三宮センター街にある靴店「モトヤ靴店」の店主・元田蓮から、モトヤ靴店の一ショーケースを貸してもらうという提案を受けていた。
しかし、坂野通夫は、手芸店を開く坂野惇子のために、休日を利用して知り合いの店を何店かあたり、お洒落な神戸元町商店街で、店舗の一角を貸してくれるという綺麗な店を見つけきた。
そこで、坂野惇子と田村光子は早速、坂野通夫が見つけてきた店舗を見にいった。
確かに、神戸元町商店街はお洒落で、坂野通夫が見つけてきてくれた店舗は綺麗だったが、坂野惇子も田村光子も、あまり乗り気がしなかった。
「元町のお店の方が、なるほど、店構えが良くて結構だけれど、整いすぎて面白くないわ。モトヤさんの方が、惇子も何かと相談しやすいと思うし、将来もきっと良くなると思うわ」
最終的に年長の田村光子が、神戸三宮センター街にある靴店「モトヤ靴店」で手芸店を開くことを決断し、坂野惇子らはモトヤ靴店に手芸店を出店することになった。
このとき、田村光子が靴店「モトヤ靴店」を選んだことが、後に子供服ブランド「ファミリア」の設立に繋がることになる。
そして、この田村光子は、洋反物問屋「田村駒」を創業して一代で財を成した初代・田村駒治郎の長女で、父・田村駒治郎から天才的な商売の感を引き継いでおり、度々、鋭い勘を発揮し、ファミリアを成功へと導いていくことになる。
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「同じ仕事をするのなら、単なる手芸店ではなく、女性の特性を生かし、せっかく覚えた新しい育児経験を元に、赤ちゃんや子供のために、品質が良くて、かわいいものを作ればうれるのではないかな」
坂野通夫の言葉は、手芸店を出店しようとしていた坂野惇子の心の中で、福音のように響いた。
坂野惇子は結婚後、神戸の外国人村に住んでいたので、いつも外国人の可愛い子供を見ており、外国人のママから「日本は良い国ですが、育児はたいへん遅れていますね」と言われていたので、西洋式の育児に興味を持っていました。
その影響で、坂野惇子は、長女・坂野光子を出産したとき、イギリス人のオーツ夫人の紹介で、外国人専門のベビーナース大ヶ瀬久子に来てもらい、3ヶ月間に渡り、西洋式の育児法を学んだ。
西洋式の育児法は、ひとつひとつが医学や心理学に基づいて、赤ちゃんの事が考えられており、ベビーナース大ヶ瀬久子から西洋式の育児法を学んだ坂野惇子は、日本古来の育児法やベビー用品が全く赤ちゃんの事を考えていない事に気づいていたのである。
また、坂野惇子が手芸店の出店を父・佐々木八十八に相談すると、父・佐々木八十八は自身の経験から、店主が不在の小売店は寂れていると言い、「小売店をやるのなら、それこそ朝から晩まで泊まり込んで店頭に居なければダメだ。それが出来なければ、他の店には無い、自分の店にしか無い特別な物を作って売りなさい」とアドバイスした。
特別な商品。それは、かつて「別嬪(べっぴん)さん」と呼ばれ、みんなから愛されていた。
こうして、佐々木八十八と坂野通夫のアドバイスを受けた坂野惇子は、他の店には売っていない特別な商品(べっぴんさん)を作る事を決め、田村枝津子(田村江つ子)と田村光子に、単なる手芸店ではなく、赤ちゃんやママのためになるベビー用品を販売するベビーショップを開くことを提案した。
田村枝津子(田村江つ子)も、坂野惇子がベビーナース大ヶ瀬久子から西洋式の育児を学んでいたころ、ベビーナースの下岡仲子に来てもらい、西洋式の育児を学んでおり、西洋式の育児法に、坂野惇子に賛成した。
田村光子も父・田村寛次郎から「安いからといい加減な物を買うな。直ぐに飽きる。高くても気に入った物を買いなさい」と教えられていたので、坂野惇子の提案に賛成した。
こうして、坂野惇子らは、特別な商品(べっぴんさん)を作るベビーショップを創業する事になり、坂野惇子・田村枝津子(田村江つ子)・田村光子はの3人は、各7万円を出し合って、計21万円(半分は現物出資)でベビーショップ・モトヤを創業したのである。第16話へ続く。
坂野惇子の立志伝の第16話は、目次「べっぴんさん-坂野惇子の立志伝」から選んでください。
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