わろてんか-風呂ギンのモデルは風呂政(岡田政太郎)

NHKの朝ドラ「わろてんか」に登場する風呂ギンの実在のモデルの紹介です。

わろてんか-風呂ギンのあらすじ

朝ドラ「わろてんか」に登場する(配役未定)は、興行界の風雲児として興行界で活躍する人物である。

風呂ギンについては、配役も未定で、設定の詳細も分からないのだが、「風呂ギン」という名前から、実在のモデルは「風呂政」と呼ばれた岡田政太郎だと推定できる。

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風呂ギンのモデルは風呂政(岡田政太郎)

風呂政こと岡田政太郎は、大阪府牧岡市池之島町(大阪府東大阪市)の出身である。江戸時代の慶応3年(1863年)ごろに生まれたというので、吉本興業の創業者・吉本せい(林せい)よりも26歳上である。

岡田政太郎は非常に商才があり、玉造の風呂屋に養子に入って、風呂屋で成功したことから、「風呂政」の異名を取った。また、色が黒いことから「黒政」とも呼ばれた。

その後、風呂屋の経営に飽きた岡田政太郎は、株で儲けた莫大な資金を背景に、三流の寄席「梯子亭(はしごてい)」を手入れして「富貴亭」と改称し、寄席の経営に乗り出した。

ところで、明治時代、一流の芸といえば落語で、落語が演芸界の中心にあり、その他の芸は「色物」と呼ばれ、二流・三流の扱いを受けていた。

寄席の経営に進出した岡田政太郎は、三流の寄席「富貴亭」に落語家を呼ぼうとしたのだが、落語家はプライドが高いので三流の寄席には出演してくれなかった。

そこで、落語界に怒った岡田政太郎は、「なんでも構わぬ、上手いも下手もない、銭が安うて、無条件に楽しませる演芸」という方針で芸能事務所「岡田興業部」を設立し、二流三流のゴミ芸人をかき集め、明治43年(1910年)に浪速の落語に反対する「反対派(浪速落語反対派)」を発足したのである。

この岡田政太郎は、「格安の入場料」「寄席の多店舗展開」「芸人を金で縛る」という手法で「反対派」の勢力を拡大していき、吉本興業に大きな影響を与えることになる。

さて、岡田政太郎は優れた商才の持ち主で、二流・三流の寄席を中心に勢力を拡大していくのだが、少々、強引な面もあり、浮浪者・落ち武者・ゴミ屑のような芸人まで大量に抱え込んだのでいたため、芸人を出演させる寄席が足りずに困っていた。

そこで、岡田政太郎は、家業の荒物問屋「箸吉」が廃業して無職になっていた吉本泰三(吉本吉兵衛)に寄席の経営を勧めたのである。

岡田政太郎が吉本泰三(吉本吉兵衛)と出会った時期は不明なのだが、吉本泰三(吉本吉兵衛)が芸人遊びをしていた関係で、早い時期から知り合っていたようである。

こうして、吉本泰三(吉本吉兵衛)と妻・吉本せい(林せい)は、大阪府大阪市北区にある天満宮(天満天神)裏の三流の寄席「第二文芸館」の経営権を購入すると、岡田政太郎の「反対派」と提携し、明治45年(1912年)4月1日に寄席の経営を開始し、「吉本興行部(吉本興業)」を設立した。

そして、吉本泰三(吉本吉兵衛)は、盟友・岡田政太郎の手法を真似て、「低価格の入場料」「店舗のフランチャイズ化」という手法で店舗を拡大していく。

こうして、岡田政太郎の「反対派」と吉本泰三(吉本吉兵衛)の「吉本興行部(吉本興業)」は、両輪の様な関係で勢力を拡大していき、岡田政太郎は京都進出を果たし、吉本興行部(吉本興業)も大阪の繁華街ミナミへと進出し、岡田・吉本連合は落語をしのぐ勢力へと成長していった。

ところで、芸人を抱えていたのは岡田政太郎の「反対派」で、吉本泰三(吉本吉兵衛)の「吉本興行部(吉本興業)」は寄席の経営だけであり、反対派から芸人を派遣してもらい、吉本の寄席に上げるという形を取っていた。

ところが、吉本興行部(吉本興業)の勢力拡大は目まぐるしく、やがて、反対派が出演する寄席の過半数が吉本興行部(吉本興業)の寄席となり、吉本興行部(吉本興業)と「反対派」の興行主・岡田政太郎の立場が逆転したのである。

このため、吉本興業の総監督・林正之助は、吉本興業で自前の芸人を抱えるべきと考えていたが、吉本せい(林せい)は岡田政太郎に義理立てして首を縦には振らなかった。

その矢先の大正9年(1920年)12月に「反対派(岡田興行部)」の興行主・岡田政太郎が急死する。通説によると、享年53。死因は不明である。

これを好機と捉えた林正之助がことを起こし、反対派は吉本系の「吉本花月連」と岡田系の「岡田反対派」に分裂した。

しかし、「岡田反対派」は林正之助が暗躍したため、わずか3ヶ月で崩壊し、吉本興行部(吉本興業)の「吉本花月連」に吸収されて消滅した。

その後、吉本興業は落語の勢力を傘下に収め、大阪の演芸会を統一して、吉本王国を築いたのであった。

なお、朝ドラ「わろてんか」の実在のモデルについては「わろてんか-登場人物の実在モデル」をご覧ください。

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