浪花千栄子の母・南口キクの立志伝

NHKの朝ドラ「おちょやん」のモデル浪花千栄子の母・南口キクの立志伝です。

南口キクの立志伝

浪花千栄子(本名は南口キクノ)の母・南口キクは、南河内(大阪府富田林市)で代々、庄屋を務める旧家の娘に生まれた。当然、結婚相手は、村の有力者になるはずだった。

しかし、南口キクは南河内郡東板持村で養鶏業を営む貧しい南口卯太郎と結婚した。当時としては珍しい自由恋愛だった。

家の格差があるので家族から反対されたが、母・南口キクは反対を押し切って南口卯太郎と結婚したのである。

夫・南口卯太郎は潔癖症の暴君で、洗った鍋をなで回し、鍋に少しでも墨が付いていると、「なんじゃこの洗い方は」と怒鳴って洗い直させるような人だったので、南口キクは、いつも南口卯太郎に怯えていた。

しかし、しつけに厳しい夫・南口卯太郎が、箸箱で浪花千栄子を叩こうとすると、南口キクは浪花千栄子を南口卯太郎の手の届かないところへと押しやり、浪花千栄子の前に出て庇うのだった。

南口キクは織物が得意で、少しでも時間があると織物をしていた。縞やカスリの色の組み合わせが上手で、他人からも織物を頼まれていた。

そして、歌も上手で機織りをしながら、いつも歌っていたので、村の人は原っぱにゴザを敷いて南口キクの歌を聴いていた。

さて、浪花千栄子には3歳年下に弟が居り、南口キクは下の子を出産した時に病気になっり、寝たきりになったという。

しかし、下の子をおんぶしながら、浪花千栄子の手を引いて、行商に出た南口卯太郎を村はずれまで迎えに行くというエピソードも残っている。

ある日、浪花千栄子は弟が南口キクの母乳を吸っているが羨ましくなり、母乳を吸わせてもらうが、薄甘いなかに塩辛いものが混じっており、なんとも嫌な味がしたので、1口で飲むのを止めてしまった。

それら間もなく、南口キクんは死んだ。2人の子供を抱いて「死んでも死に切れん」と言い、泣きながら、死んでいったという。

浪花千栄子は母乳の味を思い出して、乳がんで死んだのではないかと思った。

当時は土葬だったので、浪花千栄子は母親を埋めるときに、ドサッ、ドサッと土をかける音をよく覚えているという。

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