朝ドラ「なつぞら」仲努(井浦新)のモデルは森康二

NHKの朝ドラ「なつぞら」に登場するアニメーター仲努(なか・つとむ)のモデルを紹介します。

朝ドラ「なつぞら」の仲努(井浦新)

仲努(井浦新)は「東洋動画スタジオ(新東京動画社)」のアニメーターで、アニメ「白蛇姫」を手がけており、見学に来た奥原なつ(広瀬すず)に「斧を手にした少年に動きを付ける」というアニメーターのテストを出した。

仲努(井浦新)は出来上がった絵を見て、奥原なつ(広瀬すず)の才能を認めたが、奥原なつ(広瀬すず)は兄・奥原咲太郎(岡田将生)の経歴が原因で、入社試験で不合格となってしまう。

奥原なつ(広瀬すず)の才能を諦めきれない仲努(井浦新)は、奥原なつ(広瀬すず)に「仕上げ」の入社試験を受けるように勧め、なとか奥原なつ(広瀬すず)を「東洋動画スタジオ」へ入社させることに成功した。

さらに、仲努(井浦新)は日本初の長編アニメ「白蛇姫」で作画監督を務める。

このとき、制作スタッフの中でアニメーターと呼べるのは、仲努(井浦新)と井戸原昇(小手伸也)だけで、他のスタッフは新人だったため、大量の仕事をなしながら、若手の指導に当たるのだった。

そして、仲努(井浦新)は「かわいい絵」と繊細な表現を得意としており、奥原なつ(広瀬すず)らから慕われている。

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仲努(井浦新)のモデルは森康二

NHKの朝ドラ「なつぞら」に登場する仲努(井浦新)のモデルは、森康二(もり・やすじ)です。

森康二は大正14年(1925年)1月28日に鳥取県鳥取市で生まれ、幼少期を日本統治下の台湾で過ごした後、建築家になるため、日本を本土に戻り、東京美術学校(東京芸術大学)へと進んだ。

在学中に政岡憲三やポール・アリーの手がけたアニメを観てアニメーションの道を志し、卒業後に28歳で「日本動画」に入社したが、経営不振により、25歳の時に全員解雇となり、失業する。

森康二は失業中に森縫と結婚し、生活のために家具設計事務所や西武百貨店の宣伝部などで働きながら、イラストやアニメの仕事を続け、経営再建された「日動映画」に再入社する。

その後、「日動映画」が「東映」の傘下に入り、昭和31年7月に「東洋のディズニー」を目指す「東映動画(東映アニメーション)」となる。

さて、朝ドラ「なつぞら」では、仲努(井浦新)が奥原なつ(広瀬すず)に「斧を手にした少年に動きを付けてアニメーションにする」というテストを出した。

これは、大塚康生が「東映動画」に入社を希望したときのエピソードで、森康二は入社を希望する大塚康生の適性を判断するために、「少年がツチを振り上げて杭を打ち込む様子を5~6枚でアニメーションにする」というテストを出している。

さて、森康二は「東映動画」で日本初の長編カラーアニメ「白蛇伝」で原画を手がけるのだが、アニメーターと呼べるのは森康二と大工原章の2人だけで、スタッフ約40人のほとんだが、新人だった。

奥原なつ(広瀬すず)のモデルとなる奥山玲子も、新人として「白蛇伝」の制作に加わっており、森康二と大工原章は原画を描きながら、新人の指導にもあたった。

さらに、昭和38年(1963年)公開のアニメ「わんぱく王子の大蛇退治」で、日本初の作画監督を務め、画風の統一を図り、日本アニメーションの基盤を確立する。

しかし、森康二は、動物を擬人化したアニメやデフォルメしたかわいいアニメが得意で、激しいシーンやリアルを求めた絵が嫌いだったうえ、細部まで他人に任せずに自分で手がけたので、仕事が遅いという欠点があり、テレビアニメに対応できず、精彩を欠くようになった。

それでも、長編アニメ「太陽の王子・ホルスの大冒険」でヒロイン「ヒルダ」の原画を手がけて高い評価を得たり、動物を主人公とするアニメ「長靴をはいた猫」を大成功させた。

さて、森康二は、東映動画時代に、高畑勲・宮崎駿・奥山玲子・小田部羊一・大田朱美など数多くのアニメーターを育てたが、「東映動画」は会社側と労働組合の対立を抱えており、良い作品が作れなくなると、高畑勲や宮崎駿が退社してしまう。

昭和47年(1972年)に「東映動画」がリストラを開始すると、労働組合が対立して、労使闘争に発展。「東映動画」は会社を封鎖してロックアウトに及んだ。

森康二は「東映動画」に残っていたが、会社の対応に腹を立て、長編アニメの制作を断ったため、労使紛争が解決すると、会社から退社を勧告され、退社した。

森康二は退社勧告を受け入れ、48歳で「東映動画」を退社すると、ズイヨー映像(日本アニメーション)へ入社し、テレビアニメ番組「山ねずみロッキーチャック」に途中参加し、画作監督を務めた。

さらに、高畑勲・宮崎駿・小田部羊一らとともに、「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」「未来少年コナン」など、数多くの名作を手がけ、アニメ黄金時代を築いた。

このように、森康二は、政岡憲三からの日本正統派アニメの流れを受け継いで、近代日本アニメの基礎を築き、数多くのアニメーターを育てて「アニメの神様」と呼ばれた。性格も温和で怒ったことが無いという。

ただし、森康二は、原作漫画に依存するアニメ業界には快く思わず、原作漫画のあるアニメは「マジンガーZ」と「ちびまる子ちゃん」くらいしか手がけいない。

というとこで、仲努(井浦新)のモデルは森康二(もり・やすじ)で確定です。

森康二の生涯を詳しく知りたいという方は「アニメの神様・森康二(もりやすじ)の立志伝」をご覧ください。

その他のモデルについては「なつぞら-実在のモデル」をご覧ください。

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