わろてんか-新世紀キネマと工藤の実在のモデル

朝ドラ「わろてんか」に登場する新世紀キネマと工藤の実在のモデルの紹介です。

わろてんか-新世紀キネマと工藤

伊能栞(高橋一生)は、映画「キースのあきれた恋道中」が検閲に引っかかったが、自分の信念を貫いて問題のシーンをカットせず、上映中止にして「伊能フィルム」に損害を与えたため、その責任を取って社長を辞任して会社から去った。

その後、伊能栞(高橋一生)は藤岡てん(葵わかな)に迎え入れられ、北村笑店の映画部を立ち上げた。

そして、杉田楓(岡本玲)が検閲をすり抜けるために知恵を絞り、仇討ちの喜劇に見せかけた恋愛映画「お笑い忠臣蔵」の台本を書き上げ、検閲も見事にパスできる見込みとなった。

しかし、それを知ったら新世紀キネマの工藤が内務省に、映画「お笑い忠臣蔵」は恋愛映画だと密告したため、一転して映画「お笑い忠臣蔵」は検閲にひっかり、藤岡てん(葵わかな)は台本の書き直しを命じられてしまったのである。

しかも、新世紀キネマの差し金で、新聞や週刊誌が通天閣を購入した北村笑店を「売名行為」と書き立てて批判したのである。

すると、伊能栞(高橋一生)は自分が居る限りは映画が検閲に通らないと考え、北村笑店に辞表を提出すると、マーチン・ショウの伝を頼ってアメリカへと渡った。

そして、半年後に映画「お笑い忠臣蔵」は、無事に検閲を通って上映されたのだった。

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わろてんか-新世紀キネマと工藤の実在のモデル

朝ドラ「わろてんか」に登場する「新世紀キネマ」のモデルは、松竹系の「新興キネマ」ですが、実質的には松竹と考えて問題無いと思います。

昭和11年、「伊能フィルム」のモデルである東宝は、吉本興業と提携して映画界でも存在感を増しており、東宝の台頭を恐れた松竹・日活・新興・大都は、系列の映画館から東宝系の映画を排除して東宝包囲網を敷きます。後に、極東・全勝も東宝包囲網に加わり、東宝は四面楚歌ならぬ六面楚歌となります。

そして、朝ドラ「わろてんか」の伊能栞(高橋一生)が「伊能フィルム」の社長を辞めているように、モデル小林一三も松竹と敵対する最中に、東宝(当時は「東京宝塚劇」)の社長を辞めてしまいます。

ただし、史実の小林一三は社長を辞めたのですが、懇願されて相談役として東宝に残りました。

その一方で、東宝は松竹から二枚目俳優の林長二郎(長谷川一夫)を引き抜きます。契約上は任期満了の移籍ですが、事実上の「引き抜き」です。

そして、林長二郎(長谷川一夫)が東宝移籍第1作目の映画「源九郎義経」の撮影中に暴漢に剃刀で襲われ、顔を傷つけられるという事件が起きました。

この事件は、京都の暴力団千本組が関与していると噂され、事件の黒幕は新興キネマの永田雅一だと言われています。

こうした東宝と松竹の対立構造を考えれば、朝ドラ「わろてんか」に登場する新世紀キネマのモデルは新興キネマ(松竹)であり、新世紀キネマの工藤のモデルは、新興キネマの永田雅一と考えて良いと思われます。

その後、松竹は新興キネマに演芸部を発足して演芸界に進出するのですが、演芸界進出にともない、吉本興業から「ミスワカナ・玉松一郎」「香島ラッキー・御園セブン」「平和ラッパ・日佐丸」「松葉家奴・松葉家喜久奴」「あきれたほういず(川田晴久を除く)」を引き抜き、吉本興業と対立するという事件を起こしました。

朝ドラ「わろてんか」では時系列が逆になっているのですが、この引き抜き事件は「わろてんか-新世紀芸能の引き抜き事件」として描かれています。

なお、吉本興業が通天閣を購入する実話については「わろてんか-吉本興業が通天閣を購入した理由と実話」をご覧ください。

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